日時: 2019年4月26日 (金) 16:00-17:00
場所:京都大学北部キャンパス 農学部総合館 W502室
遺伝子からフィールドへ:島嶼に適応したカラスバトの生態を探る |
安藤温子 博士(国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター) |
一般に、海洋島では鳥類の移動能力が低下すると言われている。しかし、中には移動能力を維持し、島々を飛び回る鳥類もいる。その一つがカラスバトである。私はこれまで、主に保全生態学的な観点から、小笠原諸島の固有亜種であるアカガシラカラスバトの遺伝構造や食物選択を評価してきた。その過程で、アカガシラカラスバトが結実状況の大きく異なる島間を広範囲に移動することが明らかになった。伊豆諸島にフィールドを移すと、延べ数千羽の基亜種カラスバトが、八丈島と八丈小島の間を1日のうちに往復することが確認された。これまで得られた結果をもとに、隔離された島嶼環境におけるカラスバトの採食戦略と生態系機能について、また今後の研究の発展性について議論したい。 |